2024年09月13日

0と1のあいだで

30年ほど生きている間に、勘違いなどで誰かを好きになることは幾度とあった。しかし、例外なく失敗か大失敗かで、ことごとくうまく行っていない。
清潔感とか人間性だとか、そういったものが備わっていないのも理由の一つなのだろうけれども、それ以前に恋愛関係について(あるいは人間関係全般についても)0か1か、そのどちらかしか存在しないと考えていたのが問題だったのではないか、と思うようになった。何故だか知らないが告白が成功して1(交際関係)になり、そこからに二人の仲が深まっていく、そのようなものだと本気で考えていた。

 ところが最近、同僚女性である大板屋名月さん(仮名)へのアプローチもどきを続けているうちに、ほとんど接点がなかったものが業務上の理由ではあるが定期的に会話をするようになり、冗談を言って笑ってくれたり、私の表情も柔らかくなったり、業務の内容だけではなくプライベートな話題についても会話の中に入ってきたり、物理的な距離が近くなったりと、1の状態ではないが、必ずしも0の状態でもないだろうと言えるような、0と1のあいだのような状況にいることに気がついた。交際とは、0が0.01になりそこから1を目指していき、目指した結果として1になるものだという気づきがあった。

 学生時代に、なんでこんな簡単なことにさえ気が付かなかったのだろうかと思ったが、普通の人間は、社会に積極的に参加することを通して無意識的・経験則的にに習得しており、私はまだその経験値が足りていなかったのだと思う。30歳、社会人5年目に達しようやくその経験値に達し、薄らぼんやりとかもしれないが感じ取れるようになったのだろう。

 大板屋名月さんは月のような存在で、見ている分には美しくきれいな方だが、いざ手を伸ばしても空を掴むだけで届かない、はるか遠くにいるような存在である。だけども、手を伸ばしてみない限り絶対に届かない。
 仕事を通じて信頼を築き上げて、今以上に距離を縮めた時、伸ばした手が彼女に届く日がいつかくるのだろうか。



■追伸

 毎週の定期的な打ち合わせが待ち遠しくて仕方がない。彼女の迷惑にならない範囲で手を伸ばすことを続けていきたい。
posted by ふおん at 00:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想・随筆