2020年01月11日

「重留年就活生の合理的選択、戦略」ふおんの就活記その22

引っ越す時期も決まり落ち着いてきたので、就活を総括するようなエントリを書くことにした。
書き終えて文字数を数えたら11000字を超えるらしい。

記事中にも書いたが、情報の確からしさは自分で確かめる以外に検証のしようがない。ここに書いた情報も場合(人)によっては正しくない可能性が存在する。全て真に受けずに適宜割り引いて受け取ってください。



1.記事の目的

もう一度就活が必要になった時(転職の時)のための忘備録、また一連の就活記事に対してコメントを下さった方への総括的な報告、あるいは一般的じゃない大学生(重留年生)の就活を知りたい数奇な方に対しての情報提供を目的とします。

7年も大学に在籍している学生の就活記録であるので、普通の就活記録ではないことを予め断っておきます。
なお、内定獲得までに3月1日の解禁から約8か月かかりました。


2.私の基礎情報

大学:地方国立大
学部:社会科学系学部(文系学生)
ゼミ:在籍
サークル:無所属(学外では所属)
バイト経験:有(書店で1年2月、その他小売で5年超)
資格:免許すらなし
在籍:7年目
出身:石川


3.事前準備

【筆記・SPI対策】
リクナビでやっていたSPIの模試らしきものを受験したところ7割取れていたのと、リテラシーテストで高得点を取れていたので、対策は特にせず。
SPIに限って言えば、センター経験者で6、7割以上取れてる人間なら恐らくしなくても問題ないのでは?という感想。慣れという意味では何回かやる必要はあるかもしれない。
企業オリジナルの一般常識試験に関しては高校入試に毛が生えた程度であるので、特に感想も何もない。
志望している企業がSPIや一般常識試験以外の玉手箱、CAB、GAB、SCOA等を課しているのであれば間違いなく事前対策するべき。試験情報に関しては、東洋経済新報社『就職四季報』シリーズを参照のこと。

【インターン】
4社に参加。1社のみ2日開催で、残りはいずれもワンデー型。
内訳は、化学系1社、機械系(工作機械)3社。業界を絞っていたこともあるが、幅が少なかった。もう少し広く見ておけばよかったように思う。
インターン参加のメリットとしては、情報解禁直前のインターン(1〜2月)であれば、一部選考プロセスの免除(企業説明会への参加、解禁後に応募資料の配布)があった。
個人的に最大と思うメリットとしては、企業の選考意向が伺えたこと、また志望している学生(大学のレベルであるとか、特徴)が分かったことが挙げられる。
学内のサークルや部活に参加しておらず、学外交流が乏しかった私にとっては、どの大学の学生がどういう特徴があるのか、という貴重な情報を得るまたとない機会となった。
リクナビ・マイナビ等で、表面上は「抽選」となっていても、実際にインターンに参加している学生には傾向があり、企業はかなり選んでいるし、またそれは企業が積極的に必要としている大学生のレベルなのだろうと伺えた。

インターンへの参加が内定に直結するか、と言えば私個人に関しては無かったので分からないが、メリットは少ならからず存在していたので、絶対にとまでは言わないが、行けるなら行くべき。企業がインターンに費用を出していることの意味を考えるべきである。

【自己分析・ES添削】
自己分析はリクナビ・マイナビ等で提供されているものを数回やった程度で、不徹底に終わる。もう少しやっていれば苦労はしなかったかもしれない。

【OB訪問】
しなかった。


4.業界の絞り込み

大学の授業で「アジア経済論」や「国際企業論」、「開発経済学」といったものがあり、日本の貿易構造や日本の企業がどのように儲けているのかを知り、素材・(中核)部品といった資本財・生産財を生産しているメーカー(機械、化学)以外ないだろうと決心する。

また、同学年より3年遅れているため、先に就職した知り合い(親類含む、面識の有無は関わらず)の動向を知れたことも大きい。

高卒-サービス(ホテルの中居):シフト制で大変そう。
高卒-サービス(調理):シフト制で朝番、遅番あり大変そう。転職も多く、40代で20万程度という金額に驚いた。
高卒-ディーラー・販売職?:高卒から30年近く続けられているみたい。
高卒-電子部品・技能職?:高卒から続けている模様。
高卒-機械・技能職(据付?):高卒から在籍中。お金の使い方からして給料が良さそう。若干の休日出勤があるらしいが、休みもそれなり(120日弱)にある。
高卒-電子部品・技能職(品質管理?):高卒から在籍中。結婚まで趣味を自由にやっており、また家を新築予定であるなど、休みもお金も十分にありそう。
短大卒-機械系・技能職?:在籍中。給料も休みも多い。持ち帰り仕事は多少あるみたい。
短大卒-情報系:3年ほどで同業種に転職。大都会のオフィスで働く、という裏では大変な苦労(持ち帰り仕事、休日出勤)があるようだ。
4大卒-小売・販売(名目上は総合職):最近退職された模様。バイトで会社の内部を知っていたため、まあ大変な仕事だろうなと。
4大卒-建築系?・施工管理:休みが少ない、残業が多い、連勤が異常。
4大卒-機械系・技術職(設計?):1年ちょっとで同業種に転職された模様。休めはしているらしい。
4大卒-商社・施工管理:在籍中。土曜出勤が多く、趣味があまり出来ないみたい。多分、採用時に出された(就職情報サイトの)情報と大きく食い違っていると思われる。
4大卒-商社・営業?:1年も経たず休職。恐らく転職される。
4大卒-銀行:数年ほどで退職され、現在は違う業界で働かれているらしい。
4大卒-商社・営業:中堅商社の管理部門で部長にまでなったが、休みのなさ、勤務地までの通勤時間の長さ、持ち帰りを含む残業の多さ等の長年のストレスがたたり、鬱病になり退職。25年ほど勤めていたらしい。現在でも働けていない様子。

メーカーはやはり仕事を続けやすい環境にあるらしく、商社・建築の施工管理や営業は続けられても大変な職業、商社は鬱になった人間がいる、情報・銀行も続かない、小売に至っては自分も知っているから論外、という大まかな情報から、就職するなら機械か電子部品以外ないだろうと考えた。業界の給与の水準も平均的であるし。
文系出身でメーカーに就職された方の情報がなかったのが少し気がかりではあった。

自作PC等を行っているので「ものづくりに興味がある」のは確かであるが、そのこと以上に持続可能であることを優先した。住めば都のような考えも持ってるので、やりたことなどの仕事に対して過分な理由は必要とせず、金銭的に困窮せず、仕事と趣味が両立可能であり、続けられる(続けられそうである)ことを真っ先に考えた。やりたいことに関しては、企業や仕事の中で部分的に実現していくことに決めた。

やりたいことをやれるのがベストなのであろうが、やりたいことと出来ることは別である。出来ることを最善とし、やりたいことを次善とした。



5.企業の絞り込み

留年することなく就活に挑んでいれば、間違いなく全国的に有名な大企業も受けていたであろうが、経歴に難があること、能力的にも秀でたものがないこと、から企業の採用大学欄を参考、より具体的に言えば在学している大学のレベルが上位にくる企業にした。これなら多少は目を瞑ってくれるかもしれない、と考えた。
また北陸地方においては金大が圧倒的強者であり、その後塵を拝する弊学、それも重留年生では地域からの信頼と能力で金大生に対抗できない、勝てない試合は勝負しなくてよい、と考え、金大生と競争(競合)しないことを選択した。

そうすると、企業の規模的には、
・在籍人数 300-1000人
・売上高 100-500億円
という数値が出た。
中小ではないが、大っぴらに大企業(いわゆる大手企業)とも言えない、“中堅”を目指すこととした。

また待遇・福利厚生面として
・年間休日120日以上
・有給取得10日以上
・平均勤続年数15年以上
・平均年齢40歳以上
を基準に、
・基本給は20万円以上
・社宅(独身寮)の存在
があればなお望ましい、とした。

その観点からも中堅以上が対象となった。


6.職種の絞り込み

これに関しては就活解禁まで考えてもおらず、人とコミュニケーションを取りたくないので、漠然と営業だけはしたくないと考えるに留まり、無謀にも総務職に限定してしまう。職種に対するイメージを柔軟にして考えるべきであった。就活全体における最大の過ちと言っても過言ではない。

製造業の企業における職種、とりわけ文系の職種としては総務(人事・経理・法務含む)や営業が挙げられるが、その他にも、
・生産管理
・購買(生産管理に含まれる場合がある)
・品質管理(文系も対象だったり、理系のみだったり)
(・技能 大卒でも募集しているところはあるが、ほとんど高卒や専門卒がメイン。)
などがある。

「総務」というぬえのような職種に囚われずに、最初から非総務管理系職種についても調べておくべきであったと後悔。


業界、企業(規模)、職種の各絞り込みより、
「機械、電子部品、化学」「(売上が100-500億円、社員300-1000人規模の)中堅企業」「総務(管理系総合職)」という基軸が出来た。

基軸を参考に受ける企業をピックアップし、解禁日を迎えた。(実際には各要素から外れる企業も受けたが、大半は全てを満たしている。)



7.企業説明会

【合同説明会】
3月上旬に計5回、ピックアップした企業を中心に回る。予定通り個別企業説明会・選考会に参加しようと思った企業もあれば、少しイメージと違ったと感じ、参加しなかった企業も少数ある。
学内での説明会の際に、採用担当者(人事課長?)「あなたのような、これこれを学んだ学生が欲しい。」と言われた経験から、就職情報会社や地方公共団体が主催しているオープン参加型の合同説明会より、(志望する企業が来ているのであれば)学内説明会を重視すべきであると感じた。1社しか行かなかったことが大変悔やまれる。

【個別説明会・会社見学】
合説で気になった企業から、就職情報サイトで参加を決めた企業まで総計で40数社。北陸地方(石川・富山)が大半を占めるが、浜松、愛知、大阪、兵庫の会社にも足を運ぶ。
基本的に交通費は出ないが、企業によっては説明会から出るものもあるため、一度死志望している業界で調べてみるべき。

個別説明会まで行ったものに関しては凡そ選考プロセスに乗ったものの、説明会や会社見学の様子から最終的に受けなかった企業も割とあった。
個別説明会や会社見学に関しては、社員の様子(気怠さを感じないか、目にくまがないか、意思疎通が出来るかなど健康状態)や、設備(工場であれば設備のレベル。工作機械で言えばオークマ、森精機、牧野フライス、松浦機械が導入されているか)やオフィス製品(色の表現が必要な場所においてモニターはEIZOを使っているか、デスクワークが中心の部門の社員への配慮があるか)を確認していた。

説明を聞いて客観的に考えてブラックじゃないのか、と思うものの、「オフホワイト」を主張するところがあったが、社員の様子からは到底「ホワイト」と呼べる企業ではないと感じ、選考に進まなかった企業がある。

確からしさを証明できないものが大半な企業が公表する数字ばかりではなく、現場の空気感も参考にするべきなのかもしれない。そういう意味では会社見学は大変参考になるし、見学なしに選考に進むなどは自殺行為、少なくとも正気の沙汰ではない。

個別の会社説明会では選考されない、とは言っているが、志望動機やガクチカを伺ってくるような、事実上の面接をしているような企業も存在した。(面接数が少ない会社)



8.選考

【履歴書・ES】
序盤は半分落とされた。が、本命視していたものに関しては全部通っているし、夏場以降はエージェント経由を除いて単体では落ちていないので、よくわからない。誰もが知っているような大手企業、よほどの大企業に関してはES段階で絞り込みがあるのかもしれないが、中堅規模の企業であれば、応募者もさして多くもないので甘いのかもしれない。
手書きの履歴書は書くのに時間がかかる(大学指定のもので初めは1時間程度)ので、「学生時代に打ち込んだ(力を入れた)こと(ガクチカ)」、「趣味・特技」、「研究内容(特に勉強した科目)」、「自己PR・特徴」など、書く内容がある程度固まっているのであれば「志望動機」のみ空欄にして、残り全てを書いておくべき。就活中は本当に時間が無い。2月末日までの1時間と、3月1日以降の1時間の価値は考えられない程に違ってくる。
「志望動機」は、自分の言葉で書くべき。知識をひけらかす場所ではない。

私を含めて、アスペルガー(あるいはHFDI:高機能発達不均等症)の傾向があって、特徴を掴めず自己PR出来ない人間がいると思うが、就活が本格化する前にキャリアセンター等就活の相談が受けられる場所に行くべき。自力で解決する選択は確実に自殺行為。
そういった方は、斎藤清二ら『発達障害大学生支援への挑戦 : ナラティブ・アプローチとナレッジ・マネジメント』、特に「第7章 就職活動支援ストラテジー」は必ず読むべきだろう。本が手に入りそうにないなら、大学図書館で転写依頼をかける手段もある。HDFIであろう自己を第三者視線で見れるという点で非常に有意であるため、心当たりのある方は就活が始まる前に、可及的速やかに読んで下さい。

【筆記】
企業オリジナルの一般常識問題に関しては、高校入試レベルの問題が過半を占めており対策の心配はほぼない。SPIに関しても重ねているうちに慣れるのでさほど対策の重要性を感じない。玉手箱、CAB、SCOAは要対策だが、大手企業やその子会社・グループ会社が中心で、(地方の)中堅レベルの企業で出ることはほぼない。
海外売上高(輸出比率)が高い企業であれば、英語の問題が出るのは確定的に明らかであるので、それが課題と感じているのであれば対策するべき。私もそうすべきであった。英語が出来ない人間が海外売上高の高いメーカーに飛び込むのは大きな間違いであった。

【面接】
ちょっと調べればわかるような焼き付け場のような知識で挑むのはやめましょう。個人を観ているので、自分の言葉でしゃべりましょう。戸坂潤も「読書家と読書」『読書論』で、「本を読んだかどうかを記憶する人ではなくて、本を読むことによって何を考えたか」と言っているではないか。情報を右から左へ流すような応答はすべきではなく、個人の考えが反映された答えを出しましょう。
面接官は人間であるので、主観を排除しきれません。相性やタイミングという要素も少なからず含まれます。回答した言葉を拾って解釈してくれる方もいれば、回答や受けている人間そのものに対して興味がないといった反応を示す香具師もいる。相手の興味を引き込む実力があればいいのであるが、最初から興味なさそうにしている相手はどうにもならん。そうしているというある種の「圧迫面接」かもしれんが。
最終的に内定をもらった企業の面接は、まさしく上手く、寸分の狂いもなくハマった面接であった。
そういった企業と巡り合うまでの辛抱と根気が必要。心を折られても、再び立ち上がることを決して忘れないでください。


9.エージェントサービスについて

エージェントサービスの、サービスというものに着目してどうやってお金を稼いでいるかというと、紹介者(就活生)が入社すると報酬が企業に入る仕組みになっている。優秀な人間にはそれ相応の企業が紹介されるだろうが、そうではない人間にはこれまた相応の企業が紹介されるのが関の山である。
担当者はろくに提出したESを見ていないし、希望も反映してくれない。最初は80点ぐらいの求人を紹介されるが、そのうちに60点、50点……ついには本当にこれが大卒の求人なのか、と言いたくなるものまである。

売り文句である、特別なルートでの選考、欠員枠、表に出ていない求人、などと言った甘言に騙されてはいけない。表に出ないのは出せないからでもあり、エージェントサービスは企業の営利目的で行われていることを決して忘れてはならない。


10.情報(収集・処理・評価)

就活関連の情報全般に関していえることではあるが、大原則としてそこに出ている文字・数字の確からしさは誰も保証してくれていない、ということである。大学の就職率の算定もそうであるが、何を基準にするか、母数にするかによって企業は数値をいくらでも良いものに変更できる。あるいは、確かに企業の就業規則上、数字上はそうではあるが、実質的な運用上はそうなっていない、というものもままある。情報サイトやHPに書いてある「〜も可能」という言葉は、「制度上〜は可能ではあるが、実際に出来るとは言っていない、むしろ不可能に近い」と考えるべきであろう。

また、表面に出ている情報は就活生全員が知っている前提にしよう。自分だけがたまたま知った、というのはあるのかもしれないが、公開情報は既に共有されており、自分だけが知っているような「隠れ優良企業」であるとかは幻想、もしくは就活生自身の願望に過ぎないように思う。「優良」かどうかもこれまた基準による。相対的評価に過ぎないそれが何故それが優良と言えるのか、一度考えましょう。

ただ、情報(一次情報)を組み合わせて出来た、全くオリジナルな二次情報に関しては、持っている人間は限られていると考えて良いのかもしれない。ただし、確からしさという問題は付きまとうことになる。

情報は同じものであっても視点によって異なる。円柱であれば、真横から見れば四角く見えるが、真上から見れば円であり、視点をずらして斜めから見たときようやく円柱とわかる。情報を自分にとって正しいものとするために、パーソナライズするために、取捨選択してするということも忘れないで欲しい。

ここら辺は恐らく、大学のゼミで学習・習得するべきものだのだろうと思う。


【情報収集】
上場企業についてはIR等で公開しているので情報を得やすいのであるが、非上場企業についてはHPで公開しているものは非常に限定的である。特に、決算情報や経営状況に関しては説明会で受けた内容以上のものは分かりようがない。
そういった公開していない情報については購入するというのも一つの選択である。
購入元としては、
TDB企業サーチ(帝国データバンク)
G-Search@niftyビジネス
日経テレコン21
等が挙げられる。

とりあえず簡易で良いので企業の情報(自己資本比率)が欲しいのであれば、
「TDB会社情報」(TDB企業サーチ):500円
信用調査会社による客観的な評価・評点も欲しいのであれば、
「クレディセイフ企業情報」(日経テレコン21):700円
評点は無いけど、価格に対して情報が多い
「日経会社プロフィル」(日経テレコン21):900円、
さらに詳細な情報(取締役、取引先、株主)や評点ともう少しスパンの長い情報が欲しいのであれば、
「東京商工リサーチ企業情報」(日経テレコン21、G-Search@nifty):1200円
「帝国データバンク企業情報」(日経テレコン21、G-Search@nifty):1760円
与信情報が欲しいのであれば
「リスクモンスター」ほか(日経テレコン21):1000円
財務状況を直接見てみたいのであれば、
「東京商工リサーチ財務情報」(日経テレコン21、G-Search@nifty):2期で4000円、3900円
「帝国データバンク企業情報」(日経テレコン21、G-Search@nifty):2期で6000円、8250円
(企業によっては存在しない情報がある。このことから、全てあるとすれば、それだけ信用情報が欲しい企業であると言えるのかもしれない。)
などがある。

評点等の詳細な見方については、日経テレコン21のページ(「評点・企業評価・リスク格付けについて」)に譲るとするが、大まかな評価としては、
TDB、TSR共に、評点が50点以上あれば普通の評価で、60点超で高評価、70点を超えると非常に評価が高いらしい。
自己資本比率に関しては、40%以上で比較的健全、60-70%が理想的、80%超でほぼ無借金経営とのこと。ないよりあった方が良い数値ではあるけれども、上場している大企業であっても30-40%の企業も少なくなく、また経営戦略と繋がってくるものであるため、一概に高いから良いというものでもないらしい。

ご実家か自信が財閥かブルジョアであれば気になった(エントリー予定の)全ての企業情報を購入すれば良いが、50社分の(評点が見れる)「TDB企業情報」を購入するとすると、それだけでも約86000円程かかる。与信情報もプラスすればさらに50000円、同業他社も加えるとさらに……となってしまうので、選考の初期段階(履歴書・ESを送る前)であれば、「TDB会社情報」程度に留めて、内定が出る前後、入る企業を決める際に「帝国データバンク企業情報」と「リスクモンスター」を買って参考にする、といった使い方が良いのかもしれない。これも情報の取捨選択の一つだろう。

就活全般の情報については、
・エフ「Fラン大学就職チャンネル」の動画群のうち「『ゆっくり霊夢はFランク大学の就職課に就職したようです』シリーズ」
・金沢大学『就職ハンドブック 2020』(2021年度版もある。リンクは2021年度版)
・ブラック企業対策プロジェクト『ブラック企業の見分け方』
が大変参考になった。
「ゆっくりFラン大学」に関しては、癖が強すぎるので真に受けず割り引いて考えた方が良いだろう。「そんなものか」程度の参考に。

他大学のキャリアセンターの情報も有意なもの、面白いものもあるので、情報を自分から制限することなく取得してみてほしい。

【情報処理】
情報によっては当てはまるもの、当てはまらないものが存在するので、集めた情報から“自分にとって”正しいと思われる情報を抜き出す作業。恐らく一番難しい。
処理しきれない情報は費用的にも時間的にも無駄であるので、個人で管理できる範囲で収集しましょう。情報過多で処理しきれないと感じるなら、取得する情報を制限する、個人的に信頼できる情報源に絞るのも戦略の一つではあると思う。確からしさとのトレードオフになるが、オバーフローを起こすより賢明な選択。


【情報評価】
各種の方法で入手した情報を元に、企業が公表している情報を分析・評価する。
基本的にキリのいい数字は疑ってかかるべきで、前年度やその前の年度と数字が変わっていないのであればそれは真っ黒である。また数字の整合性にも注意を払うべきである。
年間休日120日なのに対して、有給消化日数が5日や6日であるとか、年間休日や消化日数が良いのに、社員の平均年齢や平均在籍年数が(業界全体の平均値と比べて)低い値を示すのであれば、それも黒に近いものだろう。
捕捉として、年間休日はあくまでも会社があらかじめ決めた休日のことであるので、休日出勤等で休日が消えて代休もなく実際は少なくなっていたとしても、年間休日は年間休日である。


11.就活の経緯と結果

3月:不安が頭を支配する中で就活開始。前半は合同説明会、後半は個別説明会。個別説明会を巡るころになると時間は無くなる。履歴書を送付し始める。
4月:説明会の間に選考も開始。履歴書で落とされる企業もあれば、筆記、面接が通る企業もあり、少し自信が付く。「どうにかなる」かもしれないと楽観視するようになる。
5月:第一志望の企業の最終面接まで到達し、「私の選択は間違っていなかった」と驕り、ある種「特別な存在だ」とさえも思っていたが、結果は見ての通りである。お祈り通知が届くと共に、残弾が切れ就活が振り出しに戻る。凹み、一週間ほど引きずる。
6月:しばしの休息の後、第二波として10社ほど説明会、また履歴書を出す。このころから少し視野(業種・職種)を広げ、商社や営業にも応募してみる。
7月:第二波、履歴書・筆記は通るもののやはり面接で砕かれる。流石に7月末までには終わるだろうと思っていたため、意気消沈する。就活への心境が「どうにかなる」から「どうにもならない」に少しずつ変化していた。
8月:第三波。書類は通るが面接で砕かれる。流石にこれはマズいのではないか、と思うようになり、エージェントも活用することにする。しかし、これは結果的には時間の無駄であった。
9月:第三波の残りも全落ちし、まさにお先真っ暗という状態であった。この前後に同じゼミの学生と出会ったが、かける言葉も返す言葉もなかった。どうにもならない、という現実に押しつぶされそうに、虎になる一歩手前であった。
10月:第四波。気分転換に当初希望していた関西方面の企業を訪問する。待遇面が若干希望通りではないが背に腹は代えられないし、また説明会で割と良さそうな印象を受けたので、初めて企業の意向に沿うような自己PR文を書いて書類を提出し、自分の言葉で書いた作文試験をパスし面接を受ける。これがまた見事にハマった面接であり、何故か受かり夢の採用通知を頂く。体が軽かった。就活RTAは5624時間41分でした。
11月:第四波の中でまだ選考途中のものもあり、昼飯を奢ってもらった企業が残っていたので就活を続けるかどうか悩んだが、内定を得た先の企業情報や信用情報を見る限りでは良好であり公開されている情報に関してもある程度の確からしさを得たため、また就活を続ける資金が底を着いたためここで終えることに。


結果としては、全ての希望を満たしたわけではないが、ほぼ希望通りのものとなった。


12.反省

【上手くいった点】
業界や企業を絞る点までは割とよかったと思う。内定を得た先も、大学のレベル的に上位にくるものであったし、客観的に自分を見られた、情報を正しく分析できており、戦略的には成功したように感じる。

【反省するべき点】
優秀でない人間が総務に絞って受かるわけがない。
英語が出来ない人間がメーカーを志望するべきではない。
運転免許は就活までに取っておくべき。
借り物の言葉ではなく、自分の言葉で文章を書き、面接で伝えましょう。
相手側が評価できそうにない話は話すべきでない。正直なのは美徳であるが、評価しようがない。真正直に答えすぎない。

【わかったこと】
留年はマイナスになるけど、完全に終わるわけではない。留年で得たことをアピールしよう。
大学によるフィルター(いわゆる学歴フィルター)は全ての企業であるわけではないが、ないわけではない。説明会で具体的にここら辺の大学生が欲しい(ターゲットにしている)とも言われたし、スカウト機能を経由して説明会に行った企業では、来ていた学生が全て国立か関関同立であった。採用大学欄を見て傾向を要確認。

地方国立大は優秀かと言われるとそうとは思わないが、どこの地域(北陸以外も含めて)の、この規模感の企業からは「いい大学、優秀な大学」と評価され、歓迎はされるようである。その恩恵は若干あった。



13.感想

二度とやりたくない。「終わってみれば就活が楽しかった」などと言える人間は就活強者かマゾヒストのどちらか、あるいはその両方なので耳を傾ける必要がない。

3月1日の就活解禁日の深夜に書いた記事「3年遅れの就活解禁。天生我材必有用?」にて、
「高校進学は安全策を取ったから。大学進学も苦手な教科が得意教科でカバーできる、といった具合に、両方共消極的な理由だったが、(周囲と比べてかもしれないが)特段準備をしていなくてもなんとかなってきた。...(中略)...
 しかし、「なにもしなくても」とは言うものの、日常の中学、高校生活の中で無意識の中でやっていたことが、結果として試験に反映されたのかもしれない。覚えていた授業の何気ない1シーンが、私を助けていたのかもしれない。あるいは、日々の選択の積み重ねが、重大なイベントにおいての選択を成功させていたのかもしれない。」
とあるが、まさしくその通りであった。今までは「何もせずに」果実を得ていたのではなく、「何かに取り組んでいたことを意識できていなかった」、「無意識の中でやっていた」のである。

また、同記事
「……インターンを経験している内に、自己の評価と他人からの評価が違う部分もある、ということに気がついた。自分の中では「面白い」ということは微塵も思っていないものの項目の1つであるのだが、「面白い」と言ってくれた人間がいた。何がそうさせたのかは記憶している限りわからないのであるが、自分が思う面白さと他人の思う面白さは違い、思いの外自分の中にも他者を面白いと思わせる部分があるのではないか。
また、面接では「考え」が見られるとの採用担当氏からの話があり、「考え」ることは出来るのだから、あとは伝えることができれば良いのではないか。」
とあるが、内定を貰った先は自分の考えに対して「面白い」と言ってくれたし、また私のことを「考える人だ」と評価してくれた。3月1日の私は預言をしていたのだろうか、かなり高い確度で就活を予見していた。この記事をもう少し信じていれば、早く終われたかもしれないが、後の祭りである。



谷川流『涼宮ハルヒの憂鬱』に触れてから以来、中1から唯心論(独我論)的世界観の持ち主であり、それで育ったためか「自分である」ことの意識が人より高く、裏打ちもなく特別視し続けてきた。しかし、就活を通して、「自分でなければならない」ことの必然性が全くないことがようやく気が付いた。
その役回りを社会(組織、集団)が必要としたとき、そこに丁度よく存在していたのが私であっただけに過ぎず、「私でなければならない」ことの必要性なぞは何一つなかったのである。それを勘違いし続けてきた学生生活であった。

必要とされ、会社に入るわけではあるが、それに関しても「私である」必然性はどこにもない。必要とした人材が「私であった」だけに過ぎない。必要とされ続けるには常に「必要とされる私」を演じ続けなければならないし、時に競合が現れた際には競争に勝たなければならない。
しかし、最初から「私である」必然・必要性がないのであれば、会社が「求める私」を演じさえすればよいのである。形は明らかだ、それをトレース出来ればよいのである。なんと簡単なことであろうか。(それが難しいのであろうけども)

最初から即戦力とは端から思っていないであろうから、徐々に頭数に数えられるように仕事を覚えて、会社に微力でも貢献できるようになりたい。
そして、大学で得た価値を守って、これからも続けていきたいと思う。



■付録

企業ごとの試験の一覧。

野町/織機・工作機械/玉手箱
大聖寺/輸送機械・産業機械/一般常識
松任/工作機械/適正検査
小松/建材・エクステリア/SPI
能登二宮/電子部品/経理問題
八尾/情報/CAB
不二越/産業機械・工作機械/SPI(英語含む)
新高岡/プラスチック/適性検査、作文
高岡/アルミ/SPI
越中山田/プラスチック/SPI
戸出/工作機械/一般常識、英作文、作文
高塚/工作機械/一般常識(英語あり)、適性検査
大江橋/商社/一般常識
伊丹/産業機械・FA/SPI
別府/化学/一般常識
東二見/船舶・機械/SPI
尼崎(大曽根)/工作機械・産業機械/SPI、教養(論作文)
姫川/産業機械/一般常識
知立/機械/一般常識
ほか。

こういった規模だと、SPIや自社製の一般常識、論作文が多い。
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